ビールを愛し、 自然を愛し、 人生を楽しもう。 岩手/八幡平

社員インタビュー

HACHIMANTAI

八幡平ファクトリー/ 醸造チーム 醸造長 中林 悠

2021年1月入社 東北大学大学院卒業

八幡平ファクトリー/ 醸造チーム 醸造長 中林 悠

この会社を選んだ理由と今の仕事について

前職では大学で研究職をしており、2021年1月より中途で入社しました。研究職からビール業界への転職を考えた理由としては、クラフトビールが好きだったことはもちろんですが、自分で作ったものを直接お客様に届けられるようなことをしたいと考えたこと、また、ビアバーやビールイベントへの参加から、そこで出会った人とビールを通じて新しい繋がりが作れることを体験し、楽しいお酒としてのビールの魅力に引き込まれたからです。
この会社を選んだ理由は、八幡平ファクトリーは2020年9月に立ち上がったということもあり、自ら動いて歴史を作り上げていく過程にやりがいを感じたためです。また、金沢清水での天然水醸造、八幡平の地熱発電をエネルギーに利用し、新たなビールコミュニティを生み出すという、この場所でしかできない、地域に根ざしたビール作りに魅力を感じたためです。

現在の仕事内容は、ビールの仕込みから缶への充填作業、発酵タンクや醸造機器の洗浄、製造スケジュール管理など、ビールを作るメイン工程を担当しています。
仕込み作業は基本的には2人で行いますが、私が醸造の主要部分を担当し、もう1人はサポートとして、使用するホップの準備、モルト粕の搬出、醸造設備の洗浄を行います。仕込みの際に生じるモルト粕は近隣の牧場及び養鶏場へと提供し、飼料として再利用することで無駄にならないようにしています。仕込みで使用するモルトを挽くミリング作業では、25 kgの重さがあるモルト袋を何度も持ち運ぶので、ある程度の体力と健常さが必要です。
発酵工程に進んだ麦汁は、糖度やpHを毎日測定し、発酵温度の管理や発酵の進み具合を確認します。また、日々テイスティングをすることで、ビールの味わいに異常がないか、オフフレーバーの有無をチェックします。特にオフフレーバーについては、原因物質と臭いの特徴、発生するメカニズムを理解していないと対策を講じられないため、そこに関する知識を得ておく必要があります。
1ヶ月ほどの熟成を経たビールは、イタリア社製の自動缶充填機を使用し、いよいよ製品として缶に充填されます。この機械は1時間に1,400本を充填する能力があり、充填作業には4~5時間を要します。その間、空缶の補充、製品の検品、パストライザー処理、充填機のエラーへの対処を行います。
ビールの品質を維持する上で、ブルワリー内の清掃や醸造機器の洗浄は特に重要で、業務の半分以上を占めます。汚れの洗い残しはカビや雑菌が繁殖する原因となり、ビールが汚染されてしまいますので、衛生面に対する意識を強く持つことが求められます。

今後の抱負ついて

誰が飲んでも美味しいと思えるようなビールを作ることが第一の目標です。我々が作るビールは比較的シンプルな味わいであるが故に、わずかでもオフフレーバーが存在すると目立ちやすく、誤魔化しが効きません。醸造過程から発酵管理にまで細心の注意を払い、より綺麗な飲み口のビールが作れるよう、日々改善を重ねています。ブルワーとしての経験はまだまだ浅いですが、暁ブルワリーのファンを増やせるように、より美味しいビール作りに励みたいと思います。また、現在、地球環境維持への取り組みが世界的に進められていますが、「人に 自然に やさしい」オーガニックビールというコンセプトにこだわり、八幡平から世界に誇れる、長く愛されるブルワリーにしていきたいと思います。

カルチャー(風土)について

2020年9月に開業した新しい工場であり、ビール業界とは異なる分野の出身の従業員で構成されているため、それぞれが自由にアイデアを出し合い、トライアンドエラーを繰り返しながら前に進んできました。また、少人数で運営しているため、醸造だけしていれば良いわけではなく、事務作業や商品の発送など、あらゆる業務をやる気概のある方が適していると思います。さらに、ビールが好きという気持ちはもちろん大事ですが、個性的で派手なビールを作るブルワリーとは一線を画し、オーガニックビールであることの意味、環境に配慮した循環型ブルワリーを目指す当社の理念に共感いただける人の方が楽しめると思います。

八幡平ってどんなところ?

日本百名山である岩手山と八幡平に加え、紅葉の名所である三ツ石山、星降る七時雨山、山容の美しい姫神山といった山々に囲まれた自然豊かな環境です。冬は良質なパウダースノーが降り、安比高原スキー場をはじめとしたウィンタースポーツを楽しめる場所が数多くあります。また、地熱発電にも代表されるように、温泉が有名な土地でもあります。私自身は登山が好きなため、休日にはこれらの山に登山に行き、帰りに温泉を楽しむという過ごし方をしており、アウトドアが好きな人には良い環境だと思います。

働く環境について

岩手山を眼前に望む広大な敷地内に工場はあります。醸造設備はクラフトビール業界の中では比較的大きく、1回の仕込みで2500 Lほどの麦汁を仕込むことができます。また、6基の発酵タンクと2基の熟成タンクがあるものの、ブルワリー内は明るく広々としており、作業をスムーズに進めることが可能です。また、当醸造所の持つ利点として、植竹大海氏による醸造に関するサポートを受けられることが挙げられます。醸造過程で気になることや変更したい点があれば質問をして、次の仕込みに反映させることができます。ビール醸造に関するある程度の知識はこちらから教えることはできますが、ビールに興味を持ち、関連書籍を読むなど自ら学ぶ姿勢を有していることが望ましいです。